こんにちは田中です。
久しぶりにブログ再開。
本日のテーマは【アスリートのトレーニング計画】です。
計画にもとづいた選手育成の大切さ
スポーツの教育的価値がさけばれる時代ですね。
アスリートが活躍すると、その選手の育成方法にもスポットライトが当たります。
指導者の皆様の、選手の将来を見据えたコーチングに感心することも多いです。
あらためて、選手育成においては計画や戦略が大切なのだと感じますね。
私たちスポーツに関わる人間は、コーチング理論を常にアップデートしたいものです。
よりよく選手と関わるために、どのように練習やトレーニングを計画立てたら良いか。
既に分かっている方も一緒に見直してみませんか?
選手と目標を共有して、一貫性のある計画を
選手のパフォーマンスやスキルを高めるために、日頃どんな練習をしていますか?
コーチ・トレーナーとしては、理にかなっていて一貫性のある練習計画を提示したいところですよね。
トレーニングの方針がコロコロ変わると、選手は混乱します。
行き当たりばったりな目標設定だと、すぐに方針転換することになりがち。
「次の大会のため」のような近視眼的なメニュー作成でなく、数年先を見据えた長期的な戦略を持ちたいですね。
目標地点を見据えた計画
チームにおける選手育成は、企業の人事マネジメントに似ていますね。
業界未経験の新入社員が、責任ある仕事を任せられるレベルになるには数年かかると思います。
人材育成にカリキュラムを取り入れている企業では、数年にわたって社員のスキルアップをサポートします。
スポーツでも同様、選手に最終的にどうなって欲しいか考えて育成計画を立てる事が大切です。
また、選手個人だけでなく、数年後のチームの姿も思い描くようにしたいですね。
3年後を考えてみましょう
ジュニアスポーツであれば、たとえば3年後のチーム像・選手像は描いてみてはどうでしょうか?
ちょうど日本の中高生のカテゴリーは、3年刻みになっていますね。
今の1年生が3年生になった時になった時、それぞれどんな選手になり、どんなチームが出来るでしょう?
3年後の理想像は、現在のチーム状況や選手個人の状況とはかけ離れているのでは?
でも、それぞれの選手が可能性を秘めていて、「化ける」可能性がありますよね。
今の現状から3年後の理想像に向かって、射程の異なる3つの視点をもって計画を立てましょう。
長期・中期・短期の計画を
射程の異なる3つの視点とは、何でしょうか?
それはA.長期計画・B.中期計画・C.短期計画の3つです。
具体的にどんなものか見てみましょう。
A.長期的な計画
複数年に渡る計画です。
数年後の選手とチームの姿を想像ましょう。
どんなプレーやパフォーマンスが出来るようになって欲しいですか?
6・3・3制の日本の教育年限でいえば、次のような目標設定ができますね。
- 小学生なら… 6年生の一番重要な大会の時に、誰に、どのくらいのスキルを身につけていて欲しいか?
- 中学生・高校生なら… 3年生の総体の時やクラブのリーグ戦で、誰に、どんなプレーが出来てほしいか?
- トップアスリートは… オリンピック等の開催年に向けて、大きな課題を設定する。
B.中期的な計画
一年ごとに、選手のパフォーマンスをどの水準に引き上げるか計画します。
これはもちろん、Aの長期計画が下敷きになっています。
数年にわたる長期的な目標を達成するために何をするか。
どの年次にどんなスキルや体力要素を高めるか課題設定しましょう。
中高生であれば、1~3年生の各段階において、何を達成するか考えます。
1年生にはどんなことが出来て欲しいですか?
2年生の段階で出来て欲しいことは?
そんな風に考えます。
ジュニア期の選手は、常にチャレンジした事のない新しい課題に取り組んでいます。
順を追って、段階的に練習しないと、出来るものも出来るようにならないですよね。
すぐには手の届かない目標に、どうやってハシゴをかけてあげるかがコーチ・トレーナーの腕の見せ所でしょう!
C.短期的な計画
年間目標をもとに、毎月・毎週の詳細なトレーニングプログラムを立案しましょう。
12か月後の理想像を具体的にイメージして、今月必要なメニューを組みます。
高い壁に12段の階段をかけるイメージです。
選手が一カ月で身につけられる事は、多くても一つか二つではないでしょうか?
今月の目標が定まったら、一週間のサイクルを考えてトレーニング量、負荷、方法を調整します。
「月曜日は基礎的なスキルで軽めの負荷」「水曜日は実戦的でハードな内容」などです。
思うように進まないからこそコーチが必要
選手の成長スピードは人それぞれ。
トレーニングのエッセンスを真綿のように吸収し、劇的にパフォーマンスが向上する選手もいます。
一方で期待通りの成長をさせてあげられない選手も出てきますよね。
実際のコーチングでは、予定どおりにトレーニングが進まず、選手とともに頭を悩ます事の方が多い気がします。
選手が挫折の中にいる時は、コーチの方も無力感に苛まれがち。
そんな時は「上手くいかないから自分たちが必要なのだ」と思うようにしましょう。
選手の成長段階は個々に違う
さて、ここで重要な事がもう一つあります。
それは、計画を立てる際には、次の事も加味すべきです。
①選手ごとの発育段階のちがい
②競技年数によるスキル習熟度のちがい
このお話は、次回以降にくわしく説明いたします↓
計画の重要性は、スポーツメディカルの観点からも
計画なく急に高いパフォーマンスを要求されると、選手はケガや故障をしたり、モチベーションが低下します。
スポーツのケガを専門にしている著者は、そういう選手によく遭遇します。
指導者が変わった直後や、急にスキルの高いメンバーが増員された時などに起こりやすい現象です。
全国大会出場など、より高い競技レベルでプレーしているチームは特に、長期的な計画が必要だと感じます。
スポーツをとおして、課題達成や解決の成功体験を
計画を選手自身と共有できている事が大切
スポーツの教育的側面を大事にするなら、作成した計画を選手と共有すると良いと思います。
それによって選手の自覚や自律を促す事ができます。
きちんと目標を理解すると、子供でも自分で考えて練習に取り組むようになります。
計画を立てることで自律を促す
また目的意識を持っている選手であれば、自分で計画立案させてみるのも良いでしょう。
中学3年生くらいになると、「部活ノート」などを使って取り組める子もいます。
その際には、計画の立て方を良く教えてあげて、心理面でのフォローも大切です。
大人がそうである以上に、子供たちも挫けたり悩んだりします。
特に思春期は、うまくいかない事があると劣等感を抱きやすいです。
理想と現実の乖離をいかに修正するか、その努力や工夫を学ぶ事もスポーツの意義ではないでしょうか?
スポーツの教育的価値
2000年からの20年ほどで、スポーツを取り巻く理念は大きく変わりました。
勝利至上主義からの脱却、スポーツマンシップ重視、選手の人格尊重。
スポーツをとおして計画立案を学ぶことは、将来の課題達成能力を磨く練習にもなります。
「大谷翔平選手の目標シート」なども話題になりましたね。
体を動かすという、最も脳を刺激できる体験をとおして、学びの種を育てる。
スポーツの現場から思考できる人が育つ。
私たちトレーナー・コーチ・メディカルは、選手にとって「人生の良き先輩」でありたいですね。
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桐生市、みどり市、伊勢崎市の赤堀地区や前橋市の粕川地区からの患者様が多い接骨院です。
この記事を書いたのは…
田中陽祐(たなかようすけ)
柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。
包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。
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参考文献はこちら↓
- アスレティック・ムーブメント・スキル −スポーツパフォーマンスのためのトレーニング/Clive Brewer (著), 広瀬 統一 (翻訳), 岡本 香織 (翻訳), 干場 拓真 (翻訳), 福田 崇 (翻訳), 吉田 早織 (翻訳)
- ムーブメントーファンクショナルムーブメントシステム:動作のスクリーニング,アセスメント,修正ストラテジー/Gray Cook (著), 中丸宏二 (翻訳), 小山貴之 (翻訳), 相澤純也 (翻訳), 新田 收 (翻訳)