成長期のスポーツ選手にとって、ヒザまわりのケガや障害はよくあります。
膝関節の周辺では、さまざまな組織が傷ついたり、炎症をおこします。
今日はその中でも発生頻度の高いジャンパーズニー(膝蓋腱炎)について分かりやすく解説します。
なお、この記事は自己診断を推奨するものではありません。
症状を悪化させないように、ケガの内容をよく知って、早期受診してくださいね♪
膝蓋腱炎(ジャンパーズニーとは)
ジャンパーズニーとは、ひざのお皿の骨(膝蓋骨と言います)のまわりが痛くなる障害です。
図のように、膝蓋骨のすぐ上や下が痛みます。
多くはスポーツ選手に発生し、若い選手とくに15歳~18歳くらいの年代に多いです。
競技では、バスケ・バレーボール・サッカー・陸上競技でよくみられます。
同じ原理で起こるオスグッド・シュラッダー病は、10~15歳くらいの年代に発生します。
オスグッド・シュラッダー病についても、今後別の記事で解説します。
ジャンパーズニーの症状
症状が軽度であれば、プレー時間の後半や、プレーの直後に軽い痛みを感じる程度でしょう。
悪化していくと、プレー中ずっと痛い状態になります。
症状が強い場合、プレー以外の日常生活でも痛みが現れます。
階段の上り下りで痛んだり、通常の歩行でも痛みを感じるようになるでしょう。
治療や運動中止の目安とするため、判断基準をもって症状の程度を見分けると良いと思います。
たとえば次の3段階のように分けられます。
- フェーズⅠ・・・プレー中や直後に痛みがあるが、あまり運動には支障をきたしていない
- フェーズⅡ・・・プレー中つねに痛みがある。運動に支障があり、周囲から見ても痛いことが分かる。
- フェーズⅢ・・・Ⅱに加えて、運動中だけでなく、日常生活でも痛む動作があり、問題をきたしている。
このように分けることで、治療の仕方や、運動休止/復帰の期間について目途が立ちます。
ジャンパーズニーの原因は?
ジャンパーズニーでは、主に膝蓋腱(しつがいけん)を傷めます。
膝蓋腱はももの前側の筋肉(大腿四頭筋)から続く組織です。
大腿四頭筋が、だんだん腱に変わっていき、お皿(膝蓋骨)の下方で膝蓋腱になり、脛骨(けいこつ)に付着します。
大腿四頭筋は、張力(引っ張る力)がとても強い筋肉です。
くり返し何度も引っ張られることで、微細な損傷が積み重なり、膝蓋腱に炎症を生じます。
また、同じ練習をしていても発症する選手と発症しない選手がいます。
それは、選手個人の体の発達や体力の状況や、体の使い方に左右されるからだと言えます。
体の使い方というのは、柔軟性や体幹の安定性、動作の協調性などです。
ジャンパーズニーにおいては、治療・再発予防の面で、体の使い方の見直しが重要です。
↓ジュニアアスリートの運動発達についての記事もありますので、良かったら見てくださいね。
膝蓋腱炎(ジャンパーズニー)の治療方法は?
ジャンパーズニーの治療で有効なのは次のような治療です。
状況に応じて、複数の治療法を組み合わせて治療します。
- 安静と休息:症状が強い場合、運動中止、もしくは量を減らす事が早期回復に繋がります。
- アイシング:膝蓋腱炎に対してはとても有効です。その場の痛み緩和だけでなく、早く治すうえで重要。
- 物理療法:超音波や低周波が痛みの緩和に有効です。
- 運動療法:柔軟性や体幹の安定性、動作の協調性などの見直しが必要なことが多いです。
- サポーター:スポーツ復帰時には、再発予防のためにサポーターを使う事も有効です。
またスポーツを継続して良いか、または治療後の復帰の目安として、上記のフェーズ分けが有効です。
次のように考えてみるのが良いと思います。
- フェーズⅠ:治療を受けつつ、アイシングやプレー前後のストレッチを徹底すれば運動を継続可能。
- フェーズⅡ:フェーズⅠになるまでジャンプやダッシュなど急激な動作を禁止し、上記の処置を行う。
- フェーズⅢ:2週間ほど競技を止して治療。その間は、再発予防のため運動療法で体の使い方を改善する。
治療上も練習復帰後も、アイシングなどの自己管理がとても重要になってきます。
正しく効果のあるアイシングを出来るように、セルフケアを学んでください。
下の記事では、アイシングの仕方について、動画付きで分かりやすく解説しています。
ジャンパーズニーの再発を予防するには
ジャンパーズニーは、症状が長期化したり、再発しやすいタイプの故障です。
次のような事を心がけて、再発予防に努めましょう。
- フェーズに合わせたメニュー管理と、段階的なスポーツ復帰。
- 復帰後もウォームアップ・クールダウン・ストレッチを充分に行う。
- 体の使い方を見直すトレーニング(メディカルスタッフやトレーナーによるサポート)。
- 競技環境の見直し(シューズや走る路面が硬くないかなど)
- サポーターやテーピングの利用
まとめ
いかがでしたか?
ジャンパーズニーは、スポーツを盛んに行う10代半ばに多く発生します。
珍しくない障害ですが、きちんと管理しないと長く練習を休むことになります。
早めの受診を心がけて、より良い競技生活を送れるようにしてくださいね!
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この記事を書いたのは…
田中陽祐(たなかようすけ)
柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。
包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。
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