今日はひざの捻挫(ねんざ)についての解説です。
一般的な感覚で言うと「ねんざ=足首」のイメージで、膝の捻挫と言われてもピンと来ないのではないでしょうか?
この記事を見ている方の中には「ひざの捻挫ってどういうこと?」と思われる方もいる気がします。
今日も専門用語をできるだけ使わず、分かりやすく解説していきます。
ひざの捻挫ってどういう状況?
捻挫(ねんざ)というのは、関節のまわりの組織が傷つくことを言います。
関節に許容範囲をこえた力が加わったときに起こります。
傷める組織は、靭帯(じんたい)や軟骨、関節を包んでいる関節包(かんせつほう)などです。
膝の関節のまわりは、靭帯によってシッカリ補強されていて頑丈です。
肩や股関節などは多方向に動かせますが、膝は基本的に一方向(曲げ伸ばし)の動作しかできないですよね?
靭帯でしっかり補強されているので、足首なんかよりは捻挫しにくい構造なのです。
ただ横方向力や、ねじるよ方向の外力に弱く、大きな力が加わると大きいケガになりがちです。
特定の靭帯を傷めることが多いので「捻挫」と言われるより「○○靭帯損傷」みたいな言われ方が多くなります。
だから「ひざの捻挫」と言われてもイメージしにくいのだと思います。
膝の関節まわりで傷めやすい組織はどこ?
膝のまわりの捻挫で傷めやすい組織(靭帯や軟骨)は次のような部分です。
ちなみに半月板というのは軟骨です。
関節内で骨と骨がうまくかみ合うように調整役をしています。
- 前十字靭帯:傷めることが比較的多い。
- 後十字靭帯:無理な急停止など、すねに対してももが前方に行ってしまった時に傷める。
- 内側側副靭帯:膝の内側にある。傷めることが多い。
- 外側側副靭帯:傷めることは比較的少ない。単独よりは外側半月板と一緒に傷めやすい。
- 内側半月板:傷めることが比較的多い。
- 外側半月板:子供は「円板状半月」が要因になる外側半月板の損傷がある。
子供に多い「円板状外側半月」の損傷については、別の記事で書いていきます。
特にスポーツのケガでよく話題になるのは、前十字靭帯・内側側副靭帯・内側半月板の損傷です。
この3つは、ある特定の状態において、3つを同時に同時に損傷することがあります。
そうなると治るまでが大変なので「不幸の3徴候」と呼ばれています。
特定の状態というのは、「ニーイン・トーアウト」の状態で、膝に急激な力が加わったときです。
「ニーイン・トーアウト」とは、足がまっすぐ正面を向いていて、膝が内側を向いている状態です。
どんな検査があるの?
膝の関節の損傷状態を調べるには、次のような方法があります。
- 問診・視診・触診:膝にどういう力が加わったか聞いたり、患部がどうなっているか見ます。
- 画像検査:靭帯や軟骨をみるには、MRIやCT画像検査・エコー検査が必要です。
- 徒手検査法:機器を用いずに、手でおこなう検査法です。
画像検査では、MRIやCTが使われる事が多いようです。
徒手検査というのは、機器を使わない検査です。
傷めている部分にわざと軽く負荷をかけます。
それによって、どの組織を損傷しているか分かります。
いきなり画像検査をするよりも、先に徒手検査で傷めている部分を絞り込むのが定石です。
ひざの損傷個所を特定する徒手検査には、様々なものがあります。
たとえば、内側半月板をチェックするマックマレーテストや、前十字靭帯損傷をしらべる前方引き出しテストなどです。
そしてもう一つ、ケガの状態を知る手順のなかで一番重要なのは「問診」です。
膝にどういうが加わったかで、傷めている部分を絞り込むことがとても大切なのです。
膝関節の捻挫に対する治療の方法は?
ひざの捻挫には、次のような治療法があります。
- 保存療法:装具やギプスなどの固定材料、包帯などを使って、数週間のあいだ患部を安静に保ちます。
- 手術療法:手術が選択される事もあります。関節鏡をつかった負担の少ない手術が一般的になっています。
保存療法が可能か、手術が必要かは、重症度と患者さんの状況によります。
靭帯が完全断裂しているとか、複数の靭帯や半月板を傷めているような重症例では手術になりやすいでしょう。
あまり知られていませんが、前十字靭帯や半月板は、損傷個所がほとんど自然治癒しないからです。
また、膝まわりの靭帯や軟骨は、運動をする上でとても重要です。
そのため、スポーツのような高負荷で再負傷のリスクが高い活動を行う人には、手術が薦められるようです。
どのくらいでスポーツ復帰できる?
重症度や損傷個所によってスポーツ復帰までの期間は異なります。
軽度の捻挫では2~3週でスポーツに復帰できるでしょう。
前十字靭帯や半月板の損傷で手術をする場合、数カ月~1年くらい期間がかかります。
復帰までのイメージで言うと、フィギュアスケートの高橋大輔選手が理解しやすいと思います。
ひざの前十字靭帯と半月板の合併損傷で手術をされ、その後バンクーバー五輪でメダルを獲得されました。
かなり長い期間リハビリとトレーニングを行っていたように記憶しています。
アスリートにとって、ケガでプレーできない期間ほど心が折れるものはありませんよね。
いま同じようなケガで悩んでいる方には、高橋選手の功績は希望の光になるのではないでしょうか?
ひざの捻挫、再発予防の方法は?
膝の靭帯・半月板損傷の再発予防には、次のような事が重要です。
- 充分な機能回復訓練:医療的なリハビリのほか、スポーツ選手に特化したリハビリも重要です。
- 機能トレーニング:リハビリから地続きでトレーニングに移行します。トレーニング室で基本動作を再学習します。
- 競技スキルの再学習:各競技の動作スキルを再学習しながら、徐々にプレーに復帰します。
- サポーターの利用:サポーターは再負傷や痛みの慢性化を防ぐために有効です。
- 定期的なボディチェック:トレーナーに体の使い方や競技スキルを見てもらう習慣をつけましょう。
- 体の管理:栄養や休養など基本的な管理から、ストレッチやアイシングまで様々なことに気を配りましょう。
ひざのケガは、選手生命にかかわることが多いです。
何よりも再負傷に気を付けて、傷める前よりも自分の体に注意深くなることが大切です。
まとめ
いかがでしたか?
膝の捻挫(靭帯・半月板損傷)は、スポーツにおいて比較的大きなケガと言えるでしょう。
そのため、ショックを受ける内容も多かったのではないでしょうか?
ただ、このケガは、あなたの競技人生を悪い方ばかりに運んだりはしません。
不遇の状態に陥った時にしか学べない事もあるからです。
今まで何気なくやっていた/出来ていた事が正しかったのか、再点検する必要があるでしょう。
その着実な点検作業は、あなたを「確かな選手」に変えてくれると思うのです。
ケガに負けないで、より良いスポーツライフを送って頂けるよう祈っています!
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この記事を書いたのは…
田中陽祐(たなかようすけ)
柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。
包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。
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