本日はセーバー病について分かりやすく解説します。
本格的にスポーツに取り組み始めたお子さんによくある症状です。
名前に「病」がつくので、病期的なものと勘違いされやすいですが、これは運動で負荷がかかる事による骨の損傷です。
そのためスポーツ障害として発生することも多いです。
この記事では、医療的な知識のない方にも分かるよう、できるだけ専門用語を使わずに解説します。
現在セーバー病でお困りの保護者の方は是非ご覧ください。
セーバー病ってどんな状態?
セーバー病のお子さんは、かかとを痛がります。
かかとを着くのを避けて、無意識につま先歩きになっている事もあります。
これは、繰り返し負荷によって、かかとの骨に微細な損傷が起きている事による痛みです。
年齢で言うと8~10歳くらいの時になる事が多く、女子よりも男子がかかりやすいです。
この年代の子供の骨には、一部もろいところがあります。
「骨端線(こったんせん)」とか「成長軟骨板(せいちょうなんこつばん)」といいます。
成長軟骨板は、骨が伸びる時に役目を発揮するもので、ほとんどの骨にあります。
その中でも、かかとの骨(踵骨)の軟骨板は、運悪くアキレス腱につよく引っ張られやすい部分にあるのです。
軟骨板は脆いので、引きはがすような力が繰り返し加わると、組織に微細な損傷がおきます。
こういう損傷の仕方をするものは他にもあり、まとめて「骨端症」といわれます。
有名なものには「オスグッド病」があります。
セーバー病や骨端症について、もう少し詳しく知りたい方はコチラの記事をご参照ください↓
セーバー病の原因は?
セーバー病の原因の一つ目は、そこに成長軟骨板がある事です。
骨のなかの成長軟骨板は、成長中の子供に特有なもので、大人になるにつれて骨化(骨になる)します。
体の部位により年齢差がありますが、かかとの骨は8~12歳で軟骨板が閉鎖します。
なので、それ以降の年代ではセーバー病は起こらないと言えます。
二つ目は、アキレス腱にかかとの骨が引っぱられる事です。
引っぱる力をけん引力と言います。
同じ運動をしている子でもセーバー病にならない子もいます。
体の成長のタイミングや体質による部分もあるでしょう。
セーバー病が起こる年齢は、ちょうどスポーツ活動が盛んになる年代に当たります。
この年代の子どもたちは、同じ動作を反復練習させすぎると骨に故障をきたすことを知っておいてください。
年代ごとの運動発達や体の特徴について知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
セーバー病の治療
セーバー病の治療には次のようなものがあります。
- 一時的な運動休止:一番治療効果が高いといえます。段階的な運動復帰を心がけましょう。
- 湿布薬などによる痛みの緩和:炎症が起きているのを早くおさめられます。
- 物理療法:超音波治療や低周波などの電気治療は痛みの緩和に効果があります。
- ヒールカップ:踵の部分を高くする装具で、歩くときの痛みがつよい時に有効です
基本的に、休養・安静が大切です。
治療する側としては、痛みを我慢しながらプレーをするような年齢ではないと考えます。
休養明けの運動再開は、段階を踏んで徐々に行います。
まずは徒歩通学してみる、体育に参加する、体を動かす習い事など、少しずつ運動量を増やしましょう。
症状を繰り返さないためには
セーバー病は適切に治療すれば、再発する事は少ないです。
それでも、もし症状が繰り返すのであれば、スポーツ活動の内容や頻度を再検討してみると良いかなと思います。
この年代では、体のコンディション(例;体が硬いなど)よりも、運動内容の見直しを優先してもらうと良いでしょう。
具体的には次のようなことです。
- ジャンプ・ランなどの高反発トレーニングを高回数・高セット数・高頻度に行っていないか
- その競技特有のスキルだけを繰り返し練習する→全身をくまなく使えるような基本トレーニングも行う
- 低年齢から特定の競技にしぼってエリート教育する→マルチスポーツ(ほかの運動もやってみる)教育にする
もちろん運動内容だけが原因のすべてではないので、ひとつの参考にして頂ければと思います。
それによって何かが変わって、傷める前よりも楽しくパフォーマンス向上できれば良いなと願っています。
まとめ
いかがでしたか?
セーバー病は、はじめて本格的にスポーツに参加する年代のお子さんに突如訪れます。
お子さんも保護者の方も、スポーツ障害になれていない事も多いと思うので、この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです。
突然のセーバー病に負けずに、スポーツを楽しんでくださいね!
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この記事を書いたのは…
田中陽祐(たなかようすけ)
柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。
包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。
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