【スポーツの突き指】病院や接骨院に行く?行かない?


私、田中は「にいさと接骨院×からだラボ」という所でスポーツ外傷の処置をしています。

 

以前、成人のドッジボール選手と雑談していて、こんなことを聞かれました。

 

ドッジボールでは、突き指は日常茶飯事です」

 

突き指のたびに受診していたら一年じゅう病院・接骨院に通院している状態になります

 

「自分で処置していい突き指と、治療を受けないと後遺症になる突き指、見分け方はありますか?」

たしかに選手の目線で考えると、その見分けは重要かもしれません。

 

突き指が頻発するスポーツでは、受傷後にプレーが継続される場面もみられます。

 

突き指損傷といっても、なかには骨折・脱臼もありますし、手術が必要になる靭帯損傷もあります。

 

それらは後々、手や指が変形したり使いにくくなる「危険な突き指」です。

 

自己判断はしないで欲しいですが、「危険な突き指」とその兆候を知っておいてもらう事は大切かもしれません。

危険な突き指では、正しい固定をしないと変形が残る事もある
危険な突き指では、正しい固定をしないと変形が残る事もある

今日はそんな「突き指」損傷のおはなし。

 

スポーツ選手の皆さんの目線にたって、わかりやすい記事にします。

 

どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

突き指のとき、受診を迷うことありませんか?

スポーツで起こる手や指のケガ、「突き指」損傷。

 

その発生率は、スポーツのケガ全体のうち20~30%を占めます。

 

「突き指」には指の捻挫だけでなく、骨折・脱臼のほか、腱や軟骨の損傷なども含まれます。

 

特にバスケ・バレーボール・ドッジボール・野球など、手でボールを受ける競技に多発します。

「よくある小さいケガだから、病院や接骨院に行かない」という感覚も理解できます。

 

ただ、その中に「厄介な損傷」が隠れている事があります。

 

そして多くの場合、厄介なケガだった事に気づくのは時間が経ってからです。

 

変形や動かしにくさが残ったりしないように、危険な兆候に敏感になりましょう。

 

突き指の症状や、注意を払うべき徴候を次の項にまとめてみました。

第一に「迷った」なら受診すること

まず一番大切な判断基準です。

 

あなたが「病院に行ったほうがいいかも」と一瞬でも思ったなら、それは行った方がいいです

 

きっとなにか、いつもと違う徴候・症状があらわれているから受診を考えたはずです。

 

関節が変な風に曲がっていたり、指の腫れ痛みの感じ方がいつもと違うのではないですか?

接骨院をしていて日々思うのは、患者さんの感覚は正しいことが多いという事です。

 

病院でも接骨院でも、患者さんの話に耳を傾け、きちんと調べ、丁寧に接します。

 

「受診して大したケガじゃなかったら悪いな」などと考えず、早めの受診をお勧めします。

突き指で「変だな」と思ったら、すぐに受診した方がいい
突き指で「変だな」と思ったら、すぐに受診した方がいい

ちなみに、突き指の治療の仕方についてはこちらのページで紹介しています。

 

治療方法について気になる方はご参照ください。

突き指のなかで危険なもの

突き指損のなかで注意が必要なものの代表例として、次のようなものがあります。

  • 骨折。脱臼しているもの
  • マレット・フィンガー
  • ジャージー・フィンガー
  • スキーヤーズ・サム

骨折・脱臼は、単純な靭帯損傷(ねんざ)よりもしっかりとした固定が必要です。

 

また、靭帯損傷の中でも治療に注意が必要なものがあります。

 

それぞれどんな症状・徴候が出るかは次の項目で説明します。

骨折・脱臼

突き指で脱臼している例は結構あります。

 

脱臼がとくに多いのは親指以外の4本指の、先端から2個目の関節(PIP関節)です。

 

脱臼しているとこんな症状・兆候が出ます。

  1. 関節部分が変形している
  2. 負傷から少し経っても持続する痛みがある
  3. 関節を曲げようとしても元の位置に戻ってしまう(弾発固定

これらは脱臼の固有症状といって、脱臼を強く疑う判断材料です。

 

突き指が多い競技では、選手や保護者・指導者の方に知っておいて頂きたいです。

 

脱臼は整復(外れた関節をはめる事)されれば元通りと思っている方がいますが、その考え方は危険です

 

脱臼がどういうケガか、治療内容について等をまとめた記事は、別に書いてみようと思います。

 

書けたらリンクを貼りますので、もしよかったら見てみてくださいませ。

指の脱臼に特有の症状
指の脱臼に特有の症状

マレットフィンガー / ジャージーフィンガー

「マレット・フィンガー」「ジャージー・フィンガー」は、指の先端の関節(DIP関節)を傷めるケガです。

 

腱が骨に付着するあたりで腱が切れたり、付着部の骨が県に引っぱられて折れたりします。

 

マレットフィンガーは、DIP関節の背中側の腱や骨を傷めます。

 

ジャージーフィンガーは、反対に腹側の骨が折れる事を言います。

マレットフィンガーとジャージーフィンガー
マレットフィンガーとジャージーフィンガー

なぜ危険かと言うと、きちんと患部を固定しておかないと、指が変形してしまうかもしれないからです。

 

マレットフィンガーでは、DIP関節を自力で伸ばせなくなります。

 

指の先端が曲がった指の様子が、マレット(木づち)に似ている事から名づけられました。

反対にジャージーフィンガーでは、自力でDIP関節を曲げられなくなります。

 

手をグーにしようとしても、変形が残った指のDIP関節だけ伸びた状態になります。

それぞれDIP関節の腱付着部に、ピンポイントで圧痛(押すと痛いこと)があります。

 

ただ、これは選手や保護者の皆さんでは見分けが難しいと思います。

 

なので「指のいちばん先端の関節(DIP関節)では、危険な突き指損傷もある」と覚えておいてください

スキーヤーズ・サム

スキーヤーズ・サムは、親指 (thum) のケガです。

 

親指先端から2つ目の関節(MP関節)に起こります。

スキーヤーズ・サムは、親指の付け根の関節を傷める損傷
スキーヤーズ・サムは、親指の付け根の関節を傷める損傷

親指に物が引っかかったり、スポーツでバウンドしたボールを受け損ねた時に起こります。

 

このとき親指は、他の4本指から離れる方向に急激な力を受けます。

 

指の関節の両側には「側副靭帯」がついていますが、スキーヤーズ・サムでは図の緑色の靭帯を傷めます。

 

このケガが要注意な理由は二つあります。

①靭帯に引っ張られ、骨が折れる事がある。

 

j靭帯が切れずに、引っ張る力が骨に加わり、骨折する事があります。

 

関節の接触面に近いところが骨折するので、治療が難しい傾向があります。

 

しっかりとした固定が必要になったり、場合によっては手術が選択される例もあります。

親指のMP関節で周辺で骨折すると、しっかりした固定や手術が必要になる事も
親指のMP関節で周辺で骨折すると、しっかりした固定や手術が必要になる事も

②断裂した靭帯が、自然に癒合しないことがある

 

この靭帯(拇指IP関節尺側側副靭帯)が完全断裂すると、靭帯の切れ目が筋肉に引っかかる事があります。

 

そうなると、切れ目が元と逆の向きになって自然修復せず、手術が必要になります。

 

この損傷は定型的なもので「ステナー損傷」という名前がついています。

 

親指のMP関節の尺側側副靭帯のケガでは、ステナー損傷になる事がある
親指のMP関節の尺側側副靭帯のケガでは、ステナー損傷になる事がある

 親指のMP関節は”key joint”と呼ばれ、日常生活において重要になる関節です。

 

 

つまむ・紙をめくる・フタを開ける・道具を操作する等、様々な動作で使います。

 

①の骨折や②のステナー損傷に限らず「親指の付け根の関節は要注意」と思っておいてください。

大事な事は

他にも治りにくい突き指はありますが、今日はここまでにしましょう。

突き指をした時に「これ、テーピングとかの自己処置で大丈夫かな?」と思う場面は結構あるはず。

 

おかしいなと思ったら、いったんプレーをストップする習慣をつけてもらえると嬉しいです。

 

一番良いのは、チームにメディカルスタッフがいる事ですが、アマチュアスポーツにおいては難しいと思います。

 

 

あとは、すぐに相談できる医療機関がある事も大切。

 

学生・社会人問わずアマチュアスポーツの練習は夜に行うことが多いです。

 

ケガをした時、比較的遅くまで開いている私たち接骨院はお役に立てることが多いです。

 

受傷後すぐに受診するのと、翌日の夕方受診するのでは治り方も違ってきます。

 

接骨院で応急的な判断と処置を受けるという事も考えてみてください。

 

そうすると私たちも使命感を持って仕事に励めます。

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この記事を書いたのは…

田中陽祐(たなかようすけ)

 

柔道整復師・スポーツトレーナー。にいさと接骨院×からだラボ 院長。

包帯やテーピングを巻くのが大好き。趣味はランニング、山登り。



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